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GIYamanashi落選!?

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GIYamanashi落選!?

GIYamanashi落選!?

2021/08/07

当地山梨のワインには、山梨産のぶどうのみを使用し、山梨県内で醸造・瓶詰し、山梨の名を冠するに恥じないワインである証として、GI YAMANASHIという認証制度があります。

欧米のワイン法を参考にした制度ですが「地理的表示付きワイン」の方が一般に価値が高く、日本でも海外で通用する基準でワインを製造している、というアピールも兼ねてできたもの、のようです。

(それなりのワイン通でないと知らないと思いますが。)

 

では、ちょっとワイン法のおさらいをしてみましょう。歴史のお勉強です。

起源はトスカーナ大公国、コジモ3世が1716年(日本ではちょうど徳川吉宗が将軍になった頃)に発した法と言うのが定説です。キャンティは当時も評価の高いワインだったらしく、別の地域のワインもキャンティと名乗って販売されたことに怒って発したそう。当時どの程度効果があったのかまでよく知りませんが、今も昔もブランドに価値が出てくると勝手に名乗って不当に稼ごうとする不届きものは多いようです。

 

ところでこのコジモ3世は言ってしまえば宗教バカで、宗教重視の前時代的政策でトスカーナ大公国を衰退させた(しかも在位1670~1723とダントツに長かったので影響甚大)と言われる暗君ですが、この法により1つだけ良いことをした、と酷評する人もいます。

ちなみにフィレンツェを中心とするトスカーナ大公国の衰退ぶりは酷く、イタリアに憧れる北ヨーロッパ知識人の代表とも言えるドイツ(ワイマール公国)のゲーテ氏がイタリア旅行(1786~1788)した際も影響が強く残っており、彼はヴェネツィアなどでは長逗留しましたが、フィレンツェはスルー、少しも興味を示さず立ち寄りもせず、完璧なスルーでした。歴史や今の状況をみると考え難いほどですね。(ゲーテのイタリア紀行は今でも面白い紀行モノとして通用しています。)

 

そしてイタリア統一後、統一の立役者として有名なカヴール首相の後を継いだ2代目首相、リカーゾリ男爵が改良、それがヨーロッパ各地に広がり、ワイン法(イタリアのDOCGやフランスのAOCなどです。)へと発展。(リカーゾリ家はワイン生産でも有名。一時期農地を手放してワイン製造業から手を引いていましたが再び農地を買い戻し、現在も作っておりますね。)

 

もとは原産地の保護のため、外部で勝手に名称を使われないようにするためのものです。(私がグラッパと言う名称を使えないようなものです。)

 

面白いのは、あくまでも原産地保護が目的であり、本来品質とは関わりがない制度であること。伝統的品種を伝統的製法で特定地域で製造したお墨付き。とは言え、きちんとした産地名を冠する以上、品質が高いことも期待されるわけで、やはりこれらを選ぶ限り外れる事は少ないでしょう。

しかし、発祥地のトスカーナ地方で見れば、伝統品種や製法から外れて格下のテーブルワインの立場で世界を席巻するスーパートスカーナなどの部類もできて、特にイタリアではテーブルワインクラスの品質向上が顕著、別のジャンルも確立されています。

 

で、話を戻してGI YAMANASHI。

 

このワイン法に触発されてのことと思いますが、山梨ブランドを確立するため、また日本も欧米並みの基準で「地理的表示付きワイン」を作っている、だからこれらのワインは品質も高く、海外でも十分通用する!というわけです。

どちらかと言えば発想が逆とも思うのですが、例えば中国などでは「YAMANASHI」が先に商標登録されてこちらが使えないなどの異常事態も発生する昨今。まず世界に通用するブランドとして確立することも重要かもしれません。私としてもせっかく当地でワインを作る以上、それに乗って広める貢献をしたいものだ、と思ったのですが。。。見事に門前払いされちゃいました。

 

落選理由は果汁糖度不足と2次発酵が見られる、とのこと。

まあ、一つ目は天候不順の年に早摘みしたぶどうですから仕方ないですね。ちなみに酒税法の範囲内で法的にはまだまだ余裕のある範囲ですが、それより厳しい基準で頑張っていると言うアピール、良いことでしょう。

もう一方はカテゴリ間違えたかな?ちなみに2017年に委託醸造したワインをGI YAMANASHIに申請したことがあるのですがこの時はあっさりは認定。そのワインはその後見事に瓶内2次発酵しました。それが結構お客様に好評でしたので、今回はちょっとそれを狙ってました。前回よりも控えめですけれど。まあ、真っ当なスパークリングワインは瓶も分厚く栓も強固、瓶内2次発酵は当たり前ですが、このような中途半端な微発砲は確かにエレガントとは言い難い点はあります。下手をすると栓が抜けたり変に濁ったりする可能性もあり、一般の酒販店に並べるにはあまりふさわしくないかもしれません。(のでこのワインは現在ワイナリーにしか置いていません。)

 

で落選しました。やれやれ。

どうも結局のところ私のやり方とこの基準の相性は良くないようです。ちなみに2018年から分析項目が増えて申請は断念していました。この頃に基準も少々変わっていたようです。

私としても原料ぶどう不足で他県のぶどうも使い始めましたし、当面私には関わりが無いものとしておきましょう。

 

お店ではこれらの落選ワインも試飲できますので、どんなものか、是非味わってくださいね。結構美味しいんですよ、と自画自賛。

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