創業時のご挨拶 (2017)
こんにちは、Casa Watanabe代表の渡邊哲也です。
この度、縁あって規模は小さいながらも自分のワイナリーを山梨県勝沼に立ち上げ、活動を始めることとなりました。私はもともとソフトウェア開発を行っていた人間であるため、数年前にはこんな将来があるとは考えてもおりませんでしたが、人生何があるかわからないもので、思っていたよりもずっと楽しく過ごしております。いつか何処かでそんな話をすることもあるでしょう。
さて、そんな門外漢の私がなぜワイン醸造を志そうとしたかといえば、かつて体調を崩したときに食の重要性を再確認し、毎日楽しく食事することほど重要なことはこの世にはない。と痛感したからです。そして、食を楽しく彩るアルコール飲料として、ワインは最も成熟したものであると感じたからです。銘醸地においては数百年、場合によっては1,000年を超える歴史の中で、その土地の食事とワインは食の両輪としてお互いに影響しながら発展してきています。
このため、食事にはワインがつきものであり、また、ワインには食事がつきものです。偏見混じりですが、他のアルコール飲料文化圏では、得てして裕福とは言えない歴史的背景のもと、お酒はお酒だけをたしなむのが通であるとか、寒冷すぎる気候のため食が停滞してしまっているなど、食事を楽しむためのツールとしての役割が未成熟であることが多いと思います。もっとも、日本では最長を誇るここ勝沼でも100年そこそこの歴史であり、まだまだ土地の食との相性を語るほどのものではないかもしれませんが、そんな中での礎の一つでありたいと思うのです。
また、特に現代の忙しい生活ではおざなりにされがちな食事をきちんと楽しむ環境づくり、そんな活動にわずかばかりでも貢献したいと考えております。結局単に飲むのが好きなのですが、一緒に楽しんでいただける方大歓迎です。試飲室では家庭でもできるおつまみの実演販売も行う計画です。従業員は基本1名の零細ワイナリーですので、作業で不在の場合も多く、常に同じサービスを提供できるわけではありませんが、お時間ある時には、ぜひお立ち寄りください。
最後になりましたが、この素晴らしい機会へと導いていただいた、大和葡萄酒株式会社社長 萩原保樹氏と株式会社 東夢会長 高野英一氏に限りない感謝を込めて。